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【脳転移発覚の前兆3】大音量でYoutubeを見はじめる

父に現れた肺がんの脳転移(前頭葉・小脳)の兆候として、これまでのブログでは、道に迷うこと、平衡感覚を失ったこと、を書いてきましたが、今回は父の「変わった行動」について書きたいと思います。

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父の生活が変わっていく

「変わった行動」といっても表現が曖昧ですが、本当に父はいろいろな点で変わりました。私が気付ききれていない部分もたくさんあると思います。しかし、最も顕著に表れた変化があります。

それが、「YouTubeを大音量で聞くこと」です。

肺がん手術を終えてからの生活

父は、肺がんの摘出手術をしてからというもの、体力が少し低下したためか、家にいることが多くなりました。

もともとは、パソコンを使って文章を書いたりもしていましたが、次第に、YouTubeを見る時間が増えていきました。

脳転移が発覚する数ヶ月前頃からは、一日中YouTubeを見ていたといっても過言ではありません。まさに、YouTube漬けの毎日でした。

しかも、主に見ているのが、テキストがスクロールされていく動画です。2ちゃんねる(今は5ちゃんねるか)から転載してきたであろう、嘘か本当かもわからないような、感動する話や、スカッとする話をずっと見ていました。

もともと、活発に外で動き回る人だったので、こういった引きこもり傾向を示していたことも、既に脳腫瘍の影響があったからだと思います。

それでも、私たち家族は、これまで一生懸命働いてきたし、肺がんの手術を終えたばかりなのだから、好きなことをさせてあげようという気持ちで、特に気には留めていませんでした。

むしろ、テキスト動画といえども活字を読んでいるので、ボケ防止になるだろうと思っていました。

大音量で流し始める

しかし、ある時、異常な行動が目立ち始めます。

冒頭にも書いた通り、大音量でYouTubeを見始めたのです。父の部屋は1階にありますが、2階の部屋まで響きわたる音量です。

あまりにもうるさいし、近所迷惑にもなりかねないので音量を下げるように言うと、「悪かった」と言ってすぐに下げてくれました。しかし、しばらくするとまた音量が上がります。

父が見ていたのは、文字が流れるだけのテキスト動画ですが、もちろんBGMもあります。それが大音量で流れるのです。

アーティストが奏でる音楽などならまだしも、同じ旋律がずっとリピートされる、本当にどうでもいいようなBGMです。

父に、なぜ音量を大きくするのかを聞いてみたことがあります。

「音量が大きいとスカッとするから」「そんなに音量が大きいか?」といった回答でした。

どういった理由であれ、自分の行動が他人へ迷惑をかける可能性があるということは考えていないようでした。

父は、もともと他人に迷惑をかけることを本当に嫌う人でした。

そんな父がこのような行動を起こすので、本当に不思議でした。

大音量を好むようになっただけではなく、他人へ配慮するという事もできなくなってしまったのです。

前頭葉が影響を与えているのか

この症状は、おそらく前頭葉の腫瘍が影響を与えていたのだと思います。

少なくとも、同時に発生した平衡感覚を司る小脳の腫瘍によるものではないと思います。

難聴になっていないかも気になりました。しかし、確認してみても、耳が遠くなっている気配はありません。耳が悪くなっていないのに、大音量でBGMを聞きたがるのです。

前頭葉が影響を受けることで、大音量の音楽でスカッとしたいという気持ちにさせられてしまうのでしょうか。

もしかすると、感動する話やスカッとする話といった内容の動画を好むようになっていたのも、今考えると前頭葉の影響があったのかも知れません。

なんでも前頭葉の腫瘍のせいにするのも問題だとは思いますが、少なくとも、大音量でBGMを聞くようになったのは、前頭葉にできた肺がんの脳転移の仕業だと思います。

パソコンが使えなくてもYoutubeは見れる

ちなみに、父は前頭葉の影響でパソコンも使えなくなってしまいます。

しかし、パソコンを起動することと、インターネットのブラウザを開くことはできます。

最近のブラウザは、履歴からよく見るサイトを教えてくれて、タイピングができなくてもYouTubeを開くことはできのです。

そして、YouTubeを開くと、そこでもオススメ動画が紹介されます。そこから見たい動画をさがすので、キーボードは必要ないのです。

父は、こういった方法で、テキスト動画を楽しんでいました。動画が終わっても、次の動画がずっと流れていくので、永久に楽しめるわけです。広告もスキップせずに全部見ていました。

そんな感じで1日中ずっとテキスト動画を見続けていたので、今考えると本当に病的な行動でした。

しかし、一緒に住んでいると、そういった明らかにおかしな変化にも、気づけなくなってしまうのです。

「より大きく」を欲する

なお、大音量のBGM以外にも、妙な異変がありました。

例えば、パソコンの画面を大きくしたいと言い出しました。

50インチくらいの外付けのモニターを買いたいと言ってきたのです。

しかし、父の部屋は6畳の小さな部屋です。なにより、テキスト動画を見るためにそんなディプレイは必要ありません。そのため、購入はしていませんが、父は本気で買おうとしていたようです。

この、大音量・大画面も欲するようになったという父の行動の変化を鑑みるに、ダイナミックなものを好むようになっていたのだと思います。

うまく言葉で表すことができないのですが、とにかく「より大きいもの」を欲するようになっていたのだと思います。

もちろん、これが、前頭葉に発生する全ての脳腫瘍に当てはまるわけではあるませんが、もし、身内の方でこのような症状が現れた場合には、注意してください。

おわりに

父の場合は、大音量のBGMという点で異変がみられましたが、脳腫瘍の症状の現れ方は、それこそ人によって千差万別だと思います。

性格や趣味、趣向、環境などの要因が大きく影響を与えると思いますし、腫瘍の種類や性質、大きさ、発生した場所などでも、症状の現れ方は異なると思います。

いずれにせよ、小さな変化にいかに気づけるかがポイントだと思います。

そして、それを見つけるのが、一緒に住んでいる人など、近くにいる人になると思います。しかし、近くにいればいる程、症状が顕在化するまで気づけないのです。

これは、今でも感じている大きなジレンマでもあります。

にもかかわらず、もっと早く病院に連れていくことができればという後悔も念も、近くに住んでいる人ほど感じてしまうのではないでしょうか。

なお、父に現れたおかしな行動は、結果的に前頭葉に問題があったわけで、本人に悪気は全くありません。本人は、自分の行動がおかしいということにすら気づいていません。

その点も含めて、暖かく見守ってやることが重要だと思います。

しかし、いきなり大音量で音楽が鳴りはじめると本当にびっくりしますよ。