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【肺がん脳転移・手術後】日記が書けない[謎のメモ]

これまでのブログでも書いてきましたが、父は何度も入院してきました。

それこそ、胆嚢摘出、肺がん、脳腫瘍と、病院嫌いで、数年前まではほとんど病院に行かなかった父でも、あっと言う間に病院の常連になりました。あんまり喜ばしくないことなんですけどね。

そんな父は、入院するたびに、いつも日記を書いていました。

入院していると暇なのか、手書きでノート1ページ分くらいは毎日書いていたと思います。

しかし、それらができたのは、胆嚢摘出と肺がんの摘出手術の時まででした。

脳腫瘍の手術で入院した時には、全く日記が書けなくなってしまっていたのです。

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父が日記を書けなくなってしまった理由

①文字が書けない

まず、前頭葉の腫瘍が影響していたのか、文字がうまく書けなくなってしまいました。

これについては、父自身、かなり辛かったと思います。

もちろん、パソコンでのタイピングや、携帯電話での文字入力もできなくなりました。

書きたい文字が頭に浮かんでも、うまく書けないそうなんです。

これだけは、脳腫瘍がある本人じゃないと分からない気持ちねすね。

②論理立てた文を考えられない

言葉ではうまく説明できないのですが、難しいことを考えられなくなりました。

数字についてはとても弱くなりましたし、文章を考えるにあたっても、論立てて構成することができなくなってしまいました。

そんな状態で頭を使うとこんがらがってしまうのか、全く集中力が持続出来ず、作業を放棄してしまうことが増えました。

数学の難しい問題て訳が分からなくなるといった状況のようなものだと思います。

それが、父には簡単な文を作ることで起こってしまっていたのです。

③自分の状態を理解できない

脳腫瘍という病気である以上、自分の症状や治療内容を適切に理解することは不可能でした。

一応、父にも説明はありますが、基本的には家族側にしっかりと伝えられます。

いずれにせよ、自分がどんな状態であり、どんな治療が行われているのか、これまでの胆嚢摘出や肺癌摘出のときように、十分に理解できてはいなかったと思います。

そのため、日記の内容も思い浮かばなかったのではないでしょうか。

付箋にメモを残す

そんな状態の父でしたが、何かを残そうと必死でした。

病室にあった付箋に、フラついた字体で誤字を織り交ぜながらも、その日の出来事や思いついたことなどを簡単にメモしていました。

脳腫瘍のせいでまともな思考力が失われている中、父なりに必死を書き留めていたのだと思います。

ただ、その具体的な内容は、名前などが羅列されたものであったりして、解読が不可能であるものがたくさんありました。

何かを残したいと必死で書いてくれたものだけに、なんとか読み取りたいと思うのですが、それができないのです。

また、父にどういう意味かを聞いてみても、書いて本人がその内容を忘れてしまっていることが多々ありました。

とくに、手術後については、記憶力が非常に弱くなっていて、このようなことが多々ありました。

野菜の名前をメモする

印象に残っているのは、付箋に、「生姜、ナス、セロリ」と書かれていたことです。料理番組でも見ていたのでしょうか。

これはこれで別に問題ないように思えるのですが、困ったこともありました。

これらの具材を買ってきてほしいと頼まれることです。

病院に持ってきても料理はできないので仕方ないのですが、父には、なぜ仕方ないのか理解できなかったようです。

以前のブログで、向かいのベッドに親戚が入院していると信じ込み、挨拶をしたいからたこ焼きを買ってきてくれと言われたことがあると書きました。

【肺がん脳転移・手術後】いるはずのない人の存在を感じる[妄想を信じる]
前回のブログでは、肺がんの脳転移によって入院した父が、霊体験について話し出したことについて書いてきました。ただし、どうにも信じることができない話ばかりで、なによりも父が実際にその霊達を見たわけではなかったのです。※詳しく以下のブロ...

この時と同じく、こういった無茶な要求はスルーせざるを得ないので、少々心苦しくなるのでよわりました。父からすると、いつになったら買ってきてくれるんだと思い続けなければならない訳ですし、なかなか難しいものがあります。

料理はできると信じ込んでいるだけに、無理に否定ばかりしても解決にはなりませんしね。

まあ、こういうのは備忘録で日記とは性質が少々違うものではあるのですが。

おわりに

父は、脳腫瘍を患いながらも、以上に示したように、必死でメモを残していたのです。

日記を書きたいけど書けないことには苦しんでいたようで、自分の症状をどこまで認識できていたのかは分かりませんが、辛かったのだと思います。

このブログも、当時の父が書き残してくれた日記を手掛かりに書いていることがあるのですが、やはり闘病記は残しておくと、いろいろと振り返ることができるので役に立ちます。

その点、脳転移の場合は、本人が書くことができなくなってしまうので、家族側がしっかりと様子を書き残していくことが重要となります。

そのうち書こうと思っていても、喉元を過ぎれば当時の辛さは忘れてしまいます。

リアルな心境を記すためにも、できればタイムリーに書き残していきたいのですが、辛い時に、辛いことの日記を書くのはなかなかの重労働です。

難しい課題ですね。