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【肺がん脳転移・手術後】帰ることができないのに帰ろうとする[プリズン・ブレイク]

ドラマの「プリズン・ブレイク」の主人公であるマイケル・スコフィールドも脳腫瘍を発症しますが、今回はそういう話ではありません。

とはいえ、マイケルも何度も頭痛に悩まされる場面があり、あれを見ていると、なんとも言えない気分になりますね。

いずれにせよ、今回のブログタイトルにつけた「プリズン・ブレイク」とは、肺がんの脳転移によって、父に現れたおかしな行動のことを指して付けました。

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病院から本気で抜け出そうとする

さて、無事に手術を終えた父ですが、術後の父は少し行動がおかしくなっていました。その1つが、病院を抜け出そうとすることです。

本来、父は絶対にそんなことをしようする人ではありません。病院(他人)に迷惑をかけることはとても嫌う人です。そんな父が、本気で病院を抜け出そうと考えていたのです。

ある日、私がお見舞いに行くと、「バイクで来たか?」と聞いてきました。

なぜかと聞くと、「バイクに乗って帰ろうと思っている」と言い出すのです。

冗談かと思っていたのですが、真面目な顔でそういってくるのです。

それこそ、「本気で言っているのか?」と聞くと、「なにかおかしいことを言っているか?」と聞き返される始末です。

ただ、なぜか電車では帰れると思っていなかったようです。とにかく、術後しばらくは、お見舞いに行くたびに、どうやってきたかを毎回聞かれていました。

まともに歩けないのに脱走を試みる

手術を終えたばかりの父は、実は歩けなかったのです。

すでに取り除いてはいましたが、やはり小脳に発生した腫瘍が影響していたのだと思います。

そのため、手術は、ずっとベッドで寝ていることしかできず、トイレも介助が必要な状況でした。それなのに、病院を抜け出せると本気で考えていたのです。

ただ、全く歩けないわけではなく、フラフラとよろめきながらも、壁伝いに歩くことはできました。

もちろん、そんな状態で歩ける距離はたかが知れています。せいぜい10メートルほどです。

しかし、父は脱走を本気で考えており、実際にベッドから自力で下りて、廊下にまで出て抜け出そうとしたそうなのです。

すぐに看護師に見つかってしまい、事なきを得ましたが、本当に迷惑な話です。

結果として、父のベッドには、振動があるとナースコールが鳴るように設定されてしまいました。

脱走を考える理由

なぜ、父は脱走という無謀なことを考えてしまうようになってしまったのか。

本質的な理由は不明です。ただ、本当に家に帰りたかったのだと思います。

いずれにしても、前頭葉の腫瘍が影響していたのは確実で、自分の行動がどういった結果をもたらすのかという想像力が完全に消えてしまっていたようです。

帰りたいと思ってしまうと、衝動的に行動してしまうようになっていたのだと思います。

脳腫瘍を発症する前の冷静な父と比べると、完全に真逆な思考回路です。

そして、自分の症状も客観的にみられなくなってしまってもいました。

たとえ、病室を脱出できたとしても、まともに歩くことができないので、エレベーターに乗って1階のエントランスまでたどり着くことはできませんし、電車に乗ることさえもできるはずがありません。

なにより、服は病院のパジャマです。

しかし、父は本気で帰れると思っていたし、強引にでもそれを実行しようとしていたのです。

この頃になると、父の変化には大分慣れていたつもりではあるのですが、やはり父の変わった姿を見ると辛いものがありましたね。

脱出するための作戦は考えていた

脳腫瘍の摘出手術を終えた父は、病院を脱出するという、思慮に欠けた考えを持つようになってしまいました。

しかし、別の部分では知恵を使う場面もありました。

たとえば、既述の通り、ベッドから降りるとナースコールが鳴るように設定されてしまいました。

しかし、父はそれを逆手に取り、何度も無意味に鳴らして、父のベッドのナースコールは誤作動によるものだと思わせようとしていました。

看護師に申し訳ないので止めさせましたが、気を抜くと本当に色々なことに知恵が働かせていました。

脳腫瘍や手術の影響でかなり弱っていたのですが、こういったところはまだまだ頭を働かせることができていました。

おわりに

刑務所ではなく病院なので、厳密にはプリズン・ブレイクとは違うのですが、父としては、まさに刑務所から脱獄するかのごとく、本気で作戦を立てていたようです。

とにかく、思うがままに動こうとするので、当初は本当に困りました。

ふつうは、入院している方が、安心できるんですけどね。ただし、このときだけは、完全に逆でした。

家でしっかりと監視している方が、気持ち的には楽だと思っていました。

しかし、時間が経つとともに、このおかしな症状は改善されていきました。

今回の、脱走しようとする行動以外にも、脳腫瘍の摘出手術を受けた後は、いろいろな症状が現れていたのですが、多くは改善されています。(他の症状についても、追々書いていきたいと思います。)

とくに、退院してからは、一気にそれらの症状が落ち着いていったという感触があります。

もしかすると、父と同じように、脳腫瘍の手術を終えて、以前とは異なる症状に悩まされている人がいるかもしれません。

症状や深刻度の如何は人によってさまざまなので、一概に大丈夫だとは言えませんが、手術直後の変わった症状は、私の父のケースのように、時間と共に落ち着く可能性があります。

家族が、以前とは異なる行動を取るようになってしまうと、本当に悲しくなります。

しかし、私のブログで、少しでも、多くの人が希望を持つことができれば幸いです。