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【肺がんがついに発覚】手術に至るまでの検査などの過程


肺がんの兆候については、前回のブログに書いた通りです。

今回は、肺がんが発見されて手術までの過程を書いていこうと思います。私自身、あまり覚えていないことが多く、まとまりある文が書けそうにないので、手元に残っている資料を手掛かりに日付順になんとか書いていこうと思います。

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市の健康診断

7月21日、「咳と痰」、「全身のむくみ」「ばち指」で苦しんでいた父は、市が開催する無料の健康診断に行きました。結果は、健康状態に問題なしでした。胸部レントゲン検査でも、何も見当たらなかったのです。これは、前回のブログの通りですね。

市の健康診断の結果に納得できなかった父は、別の病院へ改めて診察に行くことにしました。以前、胆嚢を摘出してもらった病院です。自宅から距離のある病院でしたが、体の不調を何とかしたいという思いだったのでしょう。お世話になったことのある病院なので信頼していたこともあったと思います。

改めて別の病院へ


7月27日、むくみで歩くこともままならない状況の中、原付に乗って自力で病院に行きました。父は、咳や痰でも苦しんでいましたが、とくに全身のむくみに困っていました。そのため、腎臓の病気を疑っていた父は、腎臓内科を受診しています。

私は父に付き添ったわけではないので詳しい診察内容はわかりませんが、診察の流れで胸部の検査も行っています。いろいろな症状があると、何科の診察を受けるべきか迷いますね。とりあえず、何科であれ症状を全て伝えるのが良いと思います。

怪しい影がついに見つかる


さて、診察結果ですが、ついに胸部X線検査で怪しい影が見つかりました。そして、すぐに翌日も診察に来るように言われます。外科で、造影CT検査を受けるためです。病院の対応がやけに迅速であり、雲行きが怪しくなってきました。これから、肺がん治療の忙しい日々が始まることになるのです。

私は、この検査結果を聞いた時、非常にショックではありましたが、また肺がんだとは信じていませんでした。信じたくなかったのだと思います。

実際、この時点では怪しい影が見つかっただけであり、肺がんと決定したわけではありません。咳や痰や結核や肺炎かもしれないし、仮に腫瘍があったとしても、悪性ではなく良性のものかもしれない。とにかく、都合の良いように考えて、そしてそれを信じていました。

造影CT検査


7月28日、改めて診察に行きました。造影CTにて、肺をより精密に検査するためです。そして、右肺に4センチの腫瘍があることがわかりました。つまり、肺がんを患っていることがほぼ確定的になったのです。

この知らせを聞いた時の心境は、今でも覚えています。地方で就職していた私は、いつも通りにサービス残業に専念していましたが、父が肺がんであるという知らせを聞いた時、もう、仕事を投げ出してそのまま家に帰ってやろうかと思う程にショックを受けていたことを覚えています。もちろん、そんなことはできませんでしたが、いろんな意味で非常にメンタルが弱いのです。

肺がんであるはずがないという思いも、見事に打ち砕かれました。やはり、現実を受け入れるのは非常に難しく、辛いものがあります。

造影CT検査が終わると、すぐにPET検査受けることが決まりました。PET検査は別の病院に行かなければならないのですが、そのスケジュールは非常にタイトで、この日から2日後の7月30日に検査が決まりました。

PET検査


造影CT検査を受けた翌日の7月29日、さっそくPET検査の資料が届き、先方の病院と電話で打ち合わせを行いました。そして、7月30日、PET検査の日です。検査自体は淡々と進んでいったそうです。

このPET検査で全身への転移状況等が分かるので、結果を知るまでは本当に気が休まらない検査です。なにしろ、肺がんは転移しやすいがんです。造影CT検査で、右肺に4センチというかなり大きい腫瘍があることはわかっていましたが、その大きさゆえに転移も気になります。

結果としては、この時は肺以外に転移は見当たりませんでした(ただし、2年後に脳への転移が発覚します)。

病理検査


8月6日には、気管支鏡検査にて一泊二日で入院することになりました。気管支ファイバースコープと呼ばれる管で、気管・気管支を調べる病理検査です。この検査では、腫瘍の細胞組織を取る生検を行うので、腫瘍の種類や悪性度などが分かるそうです。

結局、この検査では、腫瘍ががんであるという明らかな証明はできませんでした。そのため、8月27日に2回目の気管支鏡検査を行っています。

このように、合計2回の気管支鏡検査を行いましたが、「粘液分泌性の比較的悪性度の低いがんが疑われる」という結果に留まり、明確にがんであるという結果がだされることはありませんでした。病理検査を行っても、確定的な診断が必ずしも出せるわけではないということです。

ただ、CTで腫瘍があることが分かっていますし、咳をはじめとする症状がでていたことからも、腫瘍が悪性であるということは、このときはすでに覚悟できていました。

なお、「粘液分泌性」という文言については、この時はまったく気にも留めていませんでしたが、これから脳に転移するがんも粘液を分泌する腫瘍でした。脳転移が発覚した時に、医者から、転移性脳腫瘍といっても、肉の塊のような腫瘍のほか、風船のように液体を内包する腫瘍もあると言われました。父の脳腫瘍は後者です。脳に転移しても、原発巣の腫瘍の性質は同じということですね。

ちなみに、液体を持つ腫瘍の方が、脳外科医としては手術が難しいそうです。

手術決定


9月10日の診察で、10月1日手術を行うことが決定しました。2回行った気管支鏡検査で悪性細胞が得られたわけではないものの、PET検査の結果から肺がんである可能性が非常に疑わしく、切除による病理診断が必要だと考えられたためです(PET検査の結果が出るまでの日数ですが、父の資料を調べてもいつ出たのかよくわかりませんでした)。

手術は、まず肺の生検術を行い、術中迅速病理診断にて肺がんであるかを診断します。それで肺がんであると診断されれば、そのまま肺葉の切除と、腫瘍の周辺にあるリンパ節の切除も行います。つまり、検査と腫瘍の切除手術を一つの流れで行うというものです。

肺がんの切除手術


手術は、予定通り10月1日に行われました。生検の結果、予想通り父の肺にある腫瘍は悪性であることが判明し、そのまま腫瘍とリンパ節の切除が行われました。手術そのものは成功で、合併症なども発生しませんでした。

全身麻酔で行われる手術で、入院期間は9月30日から10月14日までの約2週間でした。

なお、がんのステージは1Bです。腫瘍の大きさは、検査の段階では4センチといわれていましたが、その間にも大きくなって、切除した時には5センチほどになっていたと思います。実際、「咳」「むくみ」「ばちゆび」などの症状も、手術前になるとさらに悪化していました。


透明だった痰は血痰となり、体のむくみは、歩くことさえ困難にさせ、横になることしかできないような状況になっていました。ばち指がある手も、ずっとジンジンする痛みを持っていたそうです。

以上の父の状態から最近よく考えるのですが、がん細胞は一定の速度で大きくなるのではなく、急激に大きくなる時期があるのだと思います。とくに、手術の1カ月前くらいからの症状の変化はとても顕著でした。

もう1つ思ったことがあり、たとえば、風邪をひいていると気づいた途端にしんどくなるように、がんについても、がんであると認識すると、がんの症状がより顕著に表れるといったようなこともあるではないでしょか。これについては、「そんなことあるはずがない」と父は言っていましたが。あくまでも、私が勝手に考える仮説です。

いずれにしても、基本的にがんは放っておくと増殖し続けます。体の異変に気づいたらすぐに診察を受け、手術なり治療を早期に行うことが重要だと思います。

その他の検査


今回は、肺がんに関する検査の流れを書いてきましたが、実際には他にも検査を受けています。むくみや関節の痛みに関する検査です。腎臓内科や整形外科の診察を受け、MRIを撮ったり、ステロイド薬を処方されたりしました。

しかし、原因は分からず、改善もされませんでした。結局これらは、肺がんを摘出すると全て治まってしまいます。今でこそ、肺がんが原因だったと考えることができますが、当時は本当に訳が分からず、肺がん以外の病気を患っていると完全に思っていました。

脳のMRIも撮っています。PET検査で脳への転移は見当たらなかったのですが、脳ドックも兼ねて脳のMRIを撮っています。このときから2年後に脳転移が発覚するので、すでに脳への転移はあったと思うのですが、この時の検査で異常は見当たりませんでした。

MRIにも映らない、非常に微小な細胞が転移していたということなのでしょう。これだけは、防ぎようも見つけようもないので仕方ありません。いずれにせよ、転移しやすい肺がんは、脳の検査がセットなんです。

脳転移のことについては、いずれ詳しく書いていきたいと思うのですが、とにかく脳への転移は怖いです。肺がんを患ったことがある方は、術後に何年も経っていようとも油断せず、是非とも定期的な検査を受けるようにしてください。

あくまでも私の父の経験からですが、MRIにも映らない程の大きさだった小さな腫瘍が、ある日突然グイグイと大きくなる時があるんです。明らかな症状が出ている場合には、腫瘍もそれなりの大きさを持っている可能性もあります。注意してください。

おわりに

7月27日に診察に行き、手術が10月1日に行われたので、がんであると分かってから取り切るまでに2カ月以上かかりました。父の肺がんは、悪性度が低いと診断されていたので、そうではない場合はより短い期間で手術が行われるかもしれません。

(ちなにみ、脳転移が発覚した時は、手術までのスピードがこのときは比べものにならないほどの早さでした。もちろん、命の危機が差し迫る程の急を要する状態でした。)

しかし、どのような場合であれ、がんかもしれないと思ったら、できるだけ早く診察をうけることが大切だと思います。診察したからと言って、さまざまな検査が必要となり、手術がすぐに行われるわけではないからです。

実際、父は手術を待っている間に限っていきなり症状が悪化しました。見守る家族の側としては、それはもう、気が気ではありません。どんな病気であれ、早め早めに医者にかかることが重要だと思います。