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【脳転移発覚の前兆8】無気力・自発性の低下

脳腫瘍といっても、転移が起こる場所でその症状は様々だと思います。

また、発生する腫瘍が1つだけども限りません。

私の父は、前頭葉と小脳にそれぞれ発生したので、余計にややこしかったのだと思います。

とくに、前頭葉は、人間性を司る脳です。これがダメージを受けると、予想もできないような症状が次々と起こります。

これまでにも、このブログでは、前頭葉に関わる父の症状について紹介してきました。例えば、道に迷ったり、偏食がでたり、大音量で動画を見たりなどです。

まさに父が父でなくなってしまう症状を目の当たりにしてきたのです。

今回は、これまた非常にショックな症状であった「無気力」です。

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無気力は誰にでもありませんか?

無気力といっても、誰にでもあると思います。

私なんて相当に無気力ですよ。

いつも、サボることばかり考えていますし、休日に家を出るのにも相当な時間を要します。

「外は寒いし風邪をひいて仕事に支障か出るとまずい」と、外に出ないどうでもいい理由を作り、自分を納得させることなんてことは、度々発生します。

しかし、父に発生した無気力は、かつての父の性格から比較して、突然現れたものだったこともあり、とりわけ衝撃的でした。

活動的だった父の変化

父は、元々とても活動的な人です。思い立ったら直ぐに行動!という人です。

フットワークがめちゃくちゃ軽くて、必要があれば100キロでも200キロ先でも、すぐに家を飛び出して駆けつけるような人です。

怠惰な私からしてみると、とても考えられないようバイタリティーの持ち主でした。

そんな父でしたが、肺がんの脳転移が発覚する数ヶ月前になると、それはもうダラけた生活を送るようになっていました。無気力そのもので、学校をサボっている大学生のような生活です。

ずっとインターネットで動画ばかり見ており、食生活も、前回のブログで書いたように異常なものになっていました。

そんな生活ばかり送っているので、昼夜も逆転していました。朝の2時ごろからゴソゴソしだし、インターネットをひらいてはYouTubeを延々と見ていました。

真夜中にふと目覚めてトイレに行くと、父が起きていたなんてしょっちゅうでした。

YouTubeで見ていたのは、感動する話や、スカッとする話などの、嘘か本当なのかもわからないようなテキスト動画です。

あのチャンネルを作成していた人の広告収益に、父はかなり貢献していたのではないでしょうか。

父に現れた無気力の特徴

1.散髪に行けない

父は、脳転移が発覚する直前、ずっと散髪に行きたいと言っていました。

唐突に「散髪」の話をだしましたが、癌が発覚する前、父は散髪に行きたい欲求と無気力の狭間でずっと戦っており、とても印象的だったからです。

行きつけの散髪屋は、自転車で5分程のところにあります。すぐに行ける距離です。それが、何故かずっと行けなかったのです。

散髪に行くために、着替えなどの準備まではできます。しかし、ここからが大変で、何故かなかなか家から出られないです。無気力になってしまうのです。

このように、父の無気力症状は、突然襲ってくるのです。

着替えまでできれば、本質的な無気力である私であっても外に出られます。

ところが、父の場合は、そうまでしても一度無気力になってしまえば完全に無理になってしまいます。そこが、父にあらわれた無気力の特徴だったと思います。

2.床屋の前まで行って帰ってくる

散髪に行くために、なんとか外に出られたこともありました。しかし、なんと散髪せずに帰ってきたのです。

聞いてみると、床屋の前まで行ったにも関わらず、散髪してこなかったのです。

その代わりに、床屋の近くのダイソーに寄って、一生使わないであろう商品をたくさん衝動買いしてきていました。

おそらく、またいつものように、突然、無気力感が襲ってきたのでしょう。そして、次の日になると、また散髪に行かなければと言い続けるのです。

ここまでくると、父が脳腫瘍を患っていること知らなかった当時の私でも、さすがに「変だな」と思いはじめました。

3.結局散髪には行けなかった

結局は、脳転移が見つかって急遽入院することになったので、父は散髪には行けませんでした。

脳の手術をするために丸坊主となり、それ以降もずっと丸坊主です。

あれだけ散髪に行きたがっていた父ですが、今ではこの坊主頭が楽だと言って気に入っています。

バリカンを購入したので、床屋に行く必要もなくなりました。今のバリカンは、たとえ安物でもコードレスで使いやすく、びっくりしました。

残された謎

最後の散髪には結局行けませんでしたが、よくよく思いだしてみると、父は転移性脳腫瘍が発覚する半年ほど前から、髪を切っても、1週間もするとまた散髪に行きたいと言っていたことです。

ずっと「散髪に行かなければ」と言い続けている状態だったのです。

かつては、2〜3ヶ月に1回切りに行く程度でした。

脳腫瘍を患うと、髪を切りたくなる衝動に駆られたりするのでしょうか。

記憶はしっかりしていたようでしたし、これについては、今でもよくわかりません。本当に謎です。

前頭葉が影響していることは確かですが、無気力とは別のなにかが起こっていたのかもしれませんね。

無気力に付随したもの

父が散髪できなかった原因は、唐突に現れるようになった無気力感だけではなく、衝動的な行動が顕著になっていたこと要因も挙げられます。

床屋の前まで行ってダイソーに寄ったのも、そのあらわれだったと考えられます。

例えるなら、ADHD(注意欠如・多動性障害)といった、発達障害のような症状が出ていたのではないでしょうか。

散髪に行くために家を出たのに、別のことに注意が向いてしまい、散髪にいくことが億劫になったのか。

それとも、散髪をするために外に出たことを完全に忘れてしまっていたのかもしれません。

なんにせよ、前頭葉の腫瘍が父の行動に大きな影響を与えていたことは確かです。

まとめ

無気力になり始めると、鬱や認知症などの病気を疑ってしまいます。実際、私も鬱を疑っていました。

これはこれで、放っておくと治療が長引くので注意が必要ですが、是非とも、他の病気も含めた、多面的な視点から観察することが大切だと思います。

とくに、前頭葉がダメージを受けている場合は、無気力の他、様々な症状が出ているはずです。

悪化していくと、本人の人格そのものに影響を与えますし、それを目の当たりにする周りの家族にとっても受け入れがたいショックがあります。

気づいてあげられるのは、本人よりも近くにいる人だと思います。些細な行動の変化であっても、注意深く観察してあげることが大切だと思います。