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【仮退院が決まる】喜ぶに喜べない現実[帰れるうち帰らせるという配慮]

無事に脳腫瘍の手術を乗り越えた父は、ついに仮退院にまで行き着くことができました。

一時期は、あまりにも唐突な脳腫瘍の影響で本当にもうダメだと思っていました。

手術でも合併症が発生しましたし、リハビリがうまくいっていると思えても医師からは余命半年と言われるわで、本当に辛い状況が続いていました。

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仮退院という奇跡

絶望的な状態からなんとか復活してくれた父は、医師からは回復傾向は平行線と言われながらも、悪化はすることなくリハビリに順調に取り組めていました。

そんな時、私は医師に呼ばれました。

なんと、仮退院の話を進めたいというのです。この発言には正直驚きました。

まさか、こんな日が来るとは思っていなかったからです。

脳腫瘍で急遽入院することになった当時は、父が家で過ごす日はもうないだろうと覚悟を決めいたからです。それくらい、奇跡かと思えるほどに、医師からの言葉には驚きました。

※緊急入院の時のブログは以下のリンクを書いています。

【脳腫瘍・手術】入院そして手術に向けての検査
父に、肺がんの脳転移があるとの診察を受けたのが平成29年6月23日。そして、6月26日に入院することがきまりました。よほど深刻な症状だったのか、病院側の対応はかなりスピーディに感じました。ここまでは、前回のブログの通りですね。入院日ま...

脳腫瘍が発生した時は、それもう驚きの連続と絶望的でいっぱいでした。

仮退院という暫定的な措置とはいえ、そんなことは到底想像できない状況だったんです。

今まで、本当にしっかりしていた父が、日を追うごとに変わっていくので、とてもみていられないというのが本音でした。

まさか、それが、治っていたと思っていた癌によるものだとは予想すらもしていませんでしたしね。

仮退院の意味

ただし、喜んでばかりもいられませんでした。

いや、とても喜ぶ心境ではなかったのです。医師から、仮退院の提案を言われた後すぐに、その理由を聞かされました。

仮退院の意味は、もちろん完全な退院に向けての準備を意味します。

家に帰ってきても、父が問題無く過ごせるかを確認するためです。

例えば、トイレに行けるのか、風呂に入れるか、ご飯は食べられるのかなどです。

入院中は全て看護師等の介助を通していたそれらの行動について、家族側が過度な負担無く対応できるかが重要となります。

これらのことについては、十分な自信がありました。

というより、父が再び家に帰って来られるのであれば、どんなことでもやり切ってみせるという強い気持ちがあったからです。

しかし、仮退院にもう一つの意味がありました。

厳密には、仮退院の意味というよりは、退院することの意味です。

悲しい現実ではありましたが、父の退院の意味は、帰れる状態のうちに家に帰った方がいいという医師の配慮だったのです。

つまり、退院したとしても、また容態が悪化して入院しに戻ってくるだろうということが、想定されているのです。

余命半年の退院

リハビリが順調に進んいでるとはいえ、医師からの見解では、父の回復傾向は平行線ということでした。

また、余命が半年ということについても変更はありません。

そんな状況での仮退院の提案でしたので、通りでおかしなと思っていたのです。

父は、肺がんが脳に転移して、小脳と前頭葉のそれぞれに脳腫瘍が発生していました。

肺の癌は摘出できていましたし、小脳の腫瘍も脳内出血という術後の合併症を伴いながらも無事に摘出できていました。

残すは、前頭葉にある腫瘍だけです(こちらは、穿頭手術という方法にて、腫瘍内の液体だけは随時取り出せるようになっていました。詳しくは以下のリンクをご覧下さい)

【2回目の手術】前頭葉に転移した腫瘍の摘出[穿頭手術]
肺がんの転移性脳腫瘍の摘出手術の2回目です。1回目は小脳の腫瘍を取り出しましたが、2回目の今回は、前頭葉の腫瘍に対する手術です。※詳しい手術の内容については、前回のブログの通りです。手術内容を簡単に説明すると、今回の前頭...

とにかく、他には癌は残っていませんでしたし、前頭葉の癌から他の臓器へ転移することもないと言われていました。

それなのに、余命が半年だったのです。前頭葉の腫瘍の影響のみで余命が半年になるわけではなく、肺がんが脳に転移した時点で、今後、他の臓器に癌が発生する可能性が極めて高いらしく、それを見越しての余命半年なのだそうです。

この時点では、脳に一つだけの腫瘍しかなかったので、そんなに余命が短いとはとても信じることができなかったのですが、やはり肺がんの脳転移は最悪のコラボだそうです。

よりよって、なんで生存率の低い癌にかかったのかと、父の不幸を嘆きました。

おわりに

この時の父のように、退院や仮退院が決まっても、その理由は安易に喜べない場合があります。

今はまだ元気でも、今後著しく悪化していく可能性がたかいという現実を突きつけられるのは、なかなか精神的に堪えるものがあります。

この時点でも、見守る側である私でさえ相当疲労していたのに、こらからさらに辛い現実が待っているのかと思うと、本当にやり切れなくなります。

しかし、たくさんの患者を診てきた脳外科の先生がいうのですから、その確率は相当高かったのだと思います。

しかし、結果としては、父に新たな癌が現れることはありませんでしたし、余命半年もとっくに過ぎて、一年半経った今も生きています。

こういうこともあるんです。なにより、まだ現れてもいない癌を怖がる必要なんて無かったのです。

最悪の事態を想定して心の準備をしておくことはもちろん大切ですが、まだ見ぬ未来のことを過度に恐れていると何もできなくなります。

目を背けられない辛い現実はたくさんあっても、可能な限りポジティブに構えていきたいと、今は強く思っています。