スポンサーリンク

【脳転移発覚の前兆1】道に迷うようになる


父の脳転移が発覚するにあたって、その兆候を思い出してみると、最初に現れていたのは、「道に迷うようになった」ことだと思います。

今思えば、何かがおかしいとは思っていましたし、本当に重大なサインだったのですが、当時は完全に見逃していました。

そして、その違和感に対して全く行動を起こすことはしませんでした。私が記憶する中で、最初に現れていた脳転移の前兆であるだけに、いつも悔やまされます。

スポンサーリンク

父を外に連れ出す


父の異変に気が付いたのは、肺がんの手術をしてから1年以上が経過していた平成29年3月のことです(脳転移が発覚するのが29年6月)。

当時、父は家から出ることが少なくなってきていたので、運動不足を解消させようと父を外に連れ出そうと考えました。(そもそも、外に出ようとしないということが、父に現れていた変化だったと今になって痛感させられています。)

そこで、一緒に川に行くことにしました。

家から4㎞ほどのところに大きな川があるので、それを見に行こうという、ささいな外出です。もともと、釣りが好きだった父が、外に出るためのきっかけになればという思いからです。

目的地にたどり着けない


目的地には、原付で行くことにしました。

お互いが違うルートで行くことにし、目的地で待ち合わせることにしたのです。

目的地までは4㎞の距離なので、私はあっという間に目的に着きました。

ところが、父はいつまで経ってもやって来ません。電話をかけてもでません。

もしかしたら、事故にでも巻き込まれたのかと不安になり、何度もかけているとようやく電話に出て、道に迷っていることが判明しました。知っている道で迷ってしまったのです。

父は、なんで迷ってしまったのか分からない様子でした。

しかし、それを聞かされる私も意味が良く分かりません。知っている道なので、迷うはずがないからです。しかし、今考えれば、これが始まりでした。

家に帰る時間が遅い


ほかにも、隣町の眼科クリニックに原付で行ってきた時、帰り道で道に迷いました。

普通なら30分程で帰ってくるところを、2時間以上もかけて帰ってきました。

全くの逆方向に進んでいたそうです。

改めて振り返ってみると、無事に家に帰ってこられたのが奇跡ですね。

父の言い分としては、右折が思うようにできず、そのまま直進せざる得えない状態となり、全く見当違いの方法に進んだとのことでした。

確かに、原付は二段階右折が必要なので、煩わしいことは多々あります。私も父も、そんなこともたまにはあるかと、笑い話にしていました。

必ず家に戻ってくる


それからも、父が道に迷って帰ってこなくなることが度々起こるようになりました。

心配になって、外を探し回ったこともあります。

不思議なのは、どれだけ時間がかかっても必ず自力で帰ってくることでした。

これは、認知症といった記憶に関する症状と、少し違う所なのかもしれません。

記憶力はある


父にできた脳腫瘍は、小脳と前頭葉です。

道に迷うようになったのは、おそらく前頭葉の損傷によるものだと思うのですが、なぜ道に迷うようになったのかはよくわかりません。

記憶力はしっかりとしていました。記憶力とは別の何かができなくなって、道に迷っていたのです。

たとえば、原付の操作や交通規則が難しく感じるようになってしまっていたのか。それとも、運転している時に、帰宅することよりも別のことに気を取られ、そっちに進んでしまったのか。今でもよくわかりません。

道に迷うのは看過できないサイン


いずれにせよ、道に迷うというのは、認知症の前触れでもあるため、見逃すことのできない行動です。

当然、私も認知症・アルツハイマーなどを疑いました。しかし、記憶力がしっかりしている分、何が起こっているのかよくわからず、病院に連れていくのが遅れました。

まさか、がんが脳に転移しているなんて、想像もしていませんでした。

切除した肺がんの細胞は、依然として父の体の中に存在していたのです。

そして、父の症状はここからどんどん悪化していくのです。

道に迷って川に辿り着けない程度の症状の時に、すぐに異変を感じて病院に連れて行っていれば、これから迎える症状の悪化を少しでも食い止められたのかもしれません。

なにより、道に迷うということそのものが、どう考えても脳に異常がでているサインだったのです。

肺がんが見つかったとき、あれほど早期発見ができなかったことを後悔していたのに、脳転移でもすぐに行動することができませんでした。なんとも悔しい思い出です。