前回のブログの続きです。父の肺がんの脳転移の手術が成功して、喜んでいたのも束の間、いきなり崖に突き落とされるような出来事が発生しました。
手術開始から完了まで
概要を簡単に説明すると、私の父は、肺がんの脳転移によって、前頭葉と小脳にそれぞれゴルフボール大の腫瘍が発生しました。
そして、まずは小脳の腫瘍を取り出すことになりました。小脳にある腫瘍は、生命維持機能を司る脳幹部に近く、緊急性が極めて高かったためです。
そして、手術当日、朝から予定通りに手術が開始されました。私は仕事だったので手術には同行していませんでしたが、それはもう不安でしかたありませんでした。
昼過ぎに、手術に同行していた母親から電話がはいりました。無事に手術が完了したとの連絡でした。
父はもう死んでしまうと思っていただけに、手術が無事に成功したとの知らせを聞いたときは、それはもう嬉しかったですよ。
突然の悪夢のような電話
手術成功の喜びも束の間でした。
仕事を終えて家に帰ろうと思っていた20時ごろ、母親から電話が入りました。
電話に出ると、父の手術が成功したばかりとは思えない、不安気な声です。
なんと、父が危篤だというのです!
昼過ぎに手術を終えて、そのままICUに運ばれていたのですが、夕方頃から急に容態が急変したというのです。全身麻酔でしたので、術後に意識が戻っていたのかは分かりませんが、癲癇を起こし、昏睡状態になっているというのです。
腫瘍を摘出した部位から出血が発生していたのです。
手術の成功を心から喜んでいただけに、急に崖に突き落とされてしまった同様は計り知れないものがありました。
急いで病院に向かう
この知らせを聞いて、すぐに職場を飛び出しました。1秒でも早く父のいる病院に行かなければと思いました。
どうすれば、病院に早く着くか、脳をフル回転して考えました。職場からは10キロほどありますが、すぐに原付で行くことに決めました。
ある意味で、頭は冷静だったのかもしれません。しかし、やはり運転中は不安で不安でしかたありませんでした。
再手術が決定
病院に到着すると、急いでICUに向かいました。
ICU前にある待合室で母親を見つけたので、話を聞いてみると、これから説明があるとのことでした。
昏睡状態ながらも父はまだ生きていました。
しばらくしてICUの中に呼ばれると、管だらけになった父に対面しました。
生きている父を見るのもこれが最後かと思いました。
手術をしてくれた先生はすでに帰宅していました。
しかし、父の容態が悪化したため、再び病院に向かっており、先生が到着でき次第、出血を止める再手術を行うとの説明をうけました。
そして、再びICUの待合室に行き、父の手術が完了するのを待つことになったのです。
ICUでの辛い待ち時間
この時には、すでに21時を過ぎていたと思います。ここから、長くて辛い時間を過ごすことになりました。
ICUの待合室からは、ICUから手術室に運ばれていく患者が見えました。
物音がして誰かが通るたびに、父が運ばれているのかと、ドキドキしていました。
「まだか、まだか」と何とも言えない気持ちでこの時間を過ごしていました。
再手術開始
22時頃に、父が手術室に運ばれて行くのが見えました。
待合室で待つことしかできず、本当にどうしようもない気分です。
手術が終われば、待合室前のドアが開いて医者がやってくるはずです。そのため、誰かが通ってドアが開くたびに、「終わったのか?」と思い、ハラハラしていました。
実際、結果を聞くのが怖すぎて、早く手術が終わってほしい気持ちと、終わらないでほしいという気持ちの、両方の気持ちを抱えていました。
しかし、いつまでも経っても手術が終わりそうにありません。
スマホで、脳内出血の手術はどれくらいの時間がかかるのかを調べてみました。
今考えれば、そんなのは場合によりけりだと思うのですが、そのときは、約2時間という情報を見付けました。
しかし、2時間経っても手術が終わる気配はありません。もう、24時を過ぎていました。
時間が経てば経つほど、「父の容態はそれほど深刻なのか」と悲観的になってしまいます。
一緒に待っている母親も、相当疲れている様子でした。朝の手術からずっと病院にいるのですから、疲れていないはずがありません。
とにかく、明日の仕事のことなど、もうどうでも良くなっていました。とにかく、手術が終わるのを待って、結果を聞き届けなければならないという気持ちです。
3時間経っても、手術は終わりませんでした。時間はすでに25時。
母親には、もし父が助からなかった場合の話もしました。希望は捨てていませんが、もし最悪の事態が発生した場合は、葬儀などの準備に向けて、早急に動かなければならないからです。しかし、そんな話をしたのは、心のどこかで、もう助からないのだろうと思っていたからだと思います。
再手術終了
25時30分、ついに待合室前のドアが開きました。看護師がやってきたのです。
そして、執刀医の先生が待つ部屋に案内されました。
先生は、非常に暗い表情でした。そのため、「ダメだったのか?」と私は思ってしましました。
しかし、無事に手術は成功したとの報告を受けました。
このときには、もうホッとするしかありませんでした。
先生の暗い表情は、朝の手術と夜の再手術までを行った疲労からきたものでしょう。確かに、一日中手術をしていれば、相当疲れると思います。
父の容態の説明
そして、先生から父に手術についての説明を受けました。
再手術することになったのは、腫瘍を摘出した部位から出血が発生したことが原因でした。
父の脳腫瘍は非常に多くの血管を取り巻くものだったようです。
この血管ですが、本当に厄介です。前頭葉の腫瘍でも、この血管に本当に悩まされることになります。
とにかく、1回目の手術では、小脳のダメージを最小限に抑えるために施術したが、結果として出血が発生したために、再手術では少し余分に脳を切除することになったそうです。
そのため、手術前よりも顕著な症状がでるだろうと伝えられました。
本当に難しい手術だったと思いますし、仕方ない結果です。なにより、父を生還させてくれたことに感謝しかありませんでした。
事実、昏睡状態になったものの、ここで小脳の腫瘍を完全に取り切ってくれたことは、本当に大きかったと思います。ここで、リザーバーチューブを設置するだけの処置に留まっていれば、この場は生き延びても、それほど長い命ではなかったと思います。
※リザーバーチューブのことについては前回のブログをご参照ください
おわりに
父に発生した小脳と前頭葉の腫瘍ですが、これでなんとか第一弾の小脳の手術が終わりました。
本当に大変な手術でしたが、脳幹という生命維持機能を司る部位への影響が極めて高い、この小脳の腫瘍を取り除けたのは、本当に幸運だったと、今でも思っています。
しかし、まだ前頭葉の腫瘍が残っています。これも非常にやっかいな腫瘍です。そして、小脳に発生した腫瘍と同じく、多くの血管を取り巻く腫瘍です。
これからも、まだまだ試練は続いていくのです。このことについても、引き続き、今後のブログで書いていきたいと思います。