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【脳転移発覚の前兆2】バランス感覚に異変

父に肺がんの脳転移が発覚してからというもの、前回のブログで書いた「道に迷うようになった」という変化のほか、体の「バランス感覚」にも異変が起こっていました。

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小脳の腫瘍が原因か

父には、前頭葉と小脳にゴルフボール大の腫瘍かそれぞれ発生していましたが、道に迷うようになったのは前頭葉、そして今回書いているバランス感覚の異変については、体の平衡を司る小脳が影響していたと思います。

父のバランス感覚の異変に気付いた出来事としては、転ぶというというよりも、地面にへたり込んでいたことが増えたことです。

本当に、尻もちを付いてへたり込んでしまうのです。

玄関を開けると父がいた

ある時、私は、玄関を開けて外に出ようとすると、父が原付の横でお尻を地面につけてへたり込んでいたのです。

この時は、いったい何が起こったのか分からず、面食らいました。

父によると、原付を停めるときにスタンドに足が引っかかり、尻もちをついてしまったので、そのまま座っていたとのことです。

このときは、そんなこともあるかと思っていました。当時は、脳に腫瘍が発生していることも知らないときです。

しかし、その後もそれが何回も続きました。

私だけではなく、母親が玄関を開けた時にも同様のことが起きていたというのです。原付を停めるのがそんなに難しいことなのか、このときは真剣に考えたものです。

とにかく、父がへたり込んでしまうのは完全に運動不足だと思い、もっと散歩などに行くようにして体を動かした方がいいと話したものです。

なぜか立ち上がろうとしない

不思議だったのは、父は一度へたり込むと、そもまま、いつやって来るとも知れない家族がその場に来るのをずっと待っていたことです。

当時の父は、まだ体力があったので、へたり込んでしまっても、何とか立ち上がることができたはずです。

家の中であればまだわかりますが、外なので近所の目もあります。

以前の父なら、絶対にそんな場面を周りに見せることは避けようとしたはずです。しかし、一度玄関で引っかかって尻もちをついてしまうと、その場でジッとするのが常だったのです。

おそらく、父をへたり込ませたのは小脳の腫瘍が影響していたと思いますが、立ち上がろうという行動を阻害させていたのは、前頭葉の腫瘍が影響していたと思います。

とにかく、この時くらいから、父の性格、行動は変化し始めていたのです。

そのため、一度転んでしまっても恥ずかしさなども感じることなく、立ち上がることが億劫になって誰かが来るのを待とうという判断をしてしまうようになっていたのです。

症状の割には大きい脳腫瘍

父の場合は、小脳にゴルフボール大の腫瘍がありました。

しかし、症状としては、今回のブログで書いたように、バランス感覚が少しおかしいといった程度でした。

歩くことは普通にできていましたし、吐き気などといった平衡感覚の欠如による症状も見られませんでした。それでも、これほどの大きさの癌が小脳に発生していたのです。

病院の先生も、父の自覚症状の小ささには驚いていたようでした。

腫瘍の大きさから考えて、本来ならもっと顕著な症状が出ていたのかもしれません。

もともと高かった体力や運動神経が、脳腫瘍で低下する運動機能をカバーしてしまい、なおさら運動機能の低下に気づくことが遅れてしまったのかもしれません。

もしそうであれば、なんとも皮肉な出来事だったと思います。

小脳に現れる腫瘍の怖さ

小脳の腫瘍が怖いのは、平衡感覚の欠如以外にもあります。

それは、脳幹に近いということです。

脳幹は、生命維持機能を司る場所です。つまり、腫瘍が脳幹に達した時点で、極めて危険な状態となります。

また、たとえ小脳の腫瘍が脳幹に達していなくても、その大きさや場所次第では、脳幹を傷つける恐れがあるため、外科手術は不可となるでしょう。ガンマナイフといった放射線の治療も困難になると思います。

ちなみに、父については、小脳の腫瘍は外科手術で無事に取り除くことができました(前頭葉の腫瘍については手術が難しく残ったままです)。執刀医は、小脳の腫瘍だけは何とか取り出したいと言っていましたし、放っておくと危険だったということでしょう。

それでも、この小脳にできた腫瘍の摘出手術は容易ではなく、この時に父は生死の境をさまようことになります。

死のリスクが高く、難しい手術を行ってくれた執刀医の先生には本当に感謝です。この手術のことについては、また後日じっくりと書きたいと思います。

記憶に問題がないゆえに油断する

がんの脳転移においては、記憶などに変化が起こった場合については、認知症などの疑いも持てるので、病院に連れていくきっかけにもなると思います。

一方、バランス感覚の低下といった肉体的な異変は、運動不足に起因するものと判断しがちで、病気に結びつけることを送らせてしまう可能性があります。

とくに、父のように高齢者の場合には、特にそう考えてしまいがちです。実際、私がそうでしたし、父自身も運動して機能を回復させようとしていました。

しかし、父に現れた些細な症状でさえ、ゴルフボール大の腫瘍があったのです。そして、手術の時には死を覚悟しなければならないほど状態に陥りました。

このことからも、肺がんを始め、何かのがんを罹患したことのある方は、体に少しでも異変を感じた時点で、検査を受ける事をお勧めします。

私の経験から、症状が悪化が顕著にでているときは、癌も勢いよく大きくなっていきますと考えられます。

異変を感じて病院に行ってとしても、MRIの予約待ちなどで直ぐに検査が行えない可能性も十分にありえます。

こういった事態も想定して、早め早めの診察を行うことが重要になると思います。

おわりに

腫瘍が小さければ、外科手術でなくても、サイバーナイフやガンマナイフといった放射線治療で対応できる可能性があります。

脳というデリケートな部分だけに、できれば手術などは避けたいところです。

父は、胆嚢の摘出、肺がんの摘出も先に行ってきましたが、それらと比較しても、この脳の手術だけは、家族にとってもとりわけ不安なものでした。

私が書くこの駄文が、少しでも多くの肩の癌の早期発見に貢献できれば幸いです。