年齢を重ねていくと、大なり小なり「下」のトラブルが出てくると思います。
私自身も「いずれはオムツや介護のお世話になるかもしれないんだなあ」と、日々、気にしながら生きています。まだ早すぎるかもしれませんが…。
とはいえ、いざ、自分に何かのトラブルが発生し、オムツをしなければならない状態となった時は、覚悟はしていてもショックを受けるかもしれません。実際、私の父も、かなりのショックを受けていたようです。
オムツを履くことを宣言
肺がんの手術を終えてから約1年後、脳転移が発覚する前のことです。
父から、唐突に「これからオムツを履くことにする」と言われました。
わざわざ宣言しなくても、と私は思ったんですが、父なりに親としてのプライドがあり、自分の子供には伝えておきたいと思ったのでしょう。
たしかに、私自身が履くことになったら、それなりの思いが出てくるかもしれません。
たかがオムツを履くくらいのことかもしれませんが、父なりに悩んだ上での決断だったと思います。そして、自分の子供にそれを伝えるのも辛いことだったと思います。
<祖母の場合>
ちなみに、病気知らずで元気に生きている私の祖母は、93歳頃からようやくオムツを履き始めました。祖母については、「ようやくか…」といった感じですが。膝が痛くてトイレに行くのが苦痛になってきたそうです。
そんな祖母でも、オムツをお土産代わりに持って行ってあげると、「まあもらっとくか」と言って受け取ります。高齢になろうとも、オムツを履くということは、何か恥ずかしいと思うところがあるのかもしれません。孫に渡されるとのは、余計に嫌かもしれませんね。
尿漏れが頻繁に起こる
父によると、オムツを履くことを宣言した頃には、すでに頻繁に尿漏れか発生していたそうです。
お漏らしのような量は出ませんが、どれだけ気を配っても、無意識のうちにパンツが少し濡れてしまう状態だったそうです。確かに気になる現象だと思います。
歳を取ると誰でも起こることだとは思うのですが、父としては、早く起こったと感じたのかもしれません。ちなみに、当時の父は68歳です。この歳で尿漏れというのは、一般に比べて、やはり少し早いかもしれませんね。
尿漏れが発生した原因については、当時は加齢によるものだと考えていました。また、前立腺肥大の傾向もあり、それが関係しているかもしれないと、気にしていました。
しかし、その実は、脳に転移した癌の影響が主因であったのです。
尿漏れの原因となる癌
父には、前頭葉と小脳に腫瘍が発生していました。
では、そのどちらが尿漏れに影響を与えているのでしょうか。調べてみると、どちらの脳障害であっても、尿漏れを発生させてしまうそうなのです。
前頭葉との関係
前頭葉は、思考力や判断力など、「人間」として行動を司る脳ですが、排尿のコントロールも行なっているそうです。
ただ、この排尿障害と前頭葉の関係をネットで調べると、医学系の論文ばかりがヒットして、門外漢の私には理解しきれない難しい内容がたくさんあります。
小脳との関係
尿漏れには、自律神経も大きく影響しているそうです。
とりわけ、小脳は大脳よりも多くの神経細胞を有するとされ、神経細胞の大部分は小脳にあるとされています。その数は、なんと1000億個を超える数だそうです。
だからなんなんだと言われると困るところではあるのですが、とにかく、尿漏れが発生した場合には、小脳の障害も見逃せないポイントだそうです(いろいろと調べてみたんですが、専門的な情報ばかりで難しいんです。曖昧なことを書いてすいません)。
いずれはにせよ、父が抱える脳腫瘍は、どちらも尿漏れも影響を与えていたようです。父はオムツを履くことに対してかなりの葛藤があったようですが、これだけの重病を抱えていたのですから、尿漏れもやむなしといったところです。
オムツを履きだしてから~症状はどんどん悪化~
オムツを履くことにはなりましたが、それでも、しばらくはできる限りトイレに行っていました。
しかし、症状が悪化していくと、尿意を感じてトイレに行ったにもかかわらず、ズボンを脱いでいる間に漏らしているといことも増えてきました。
半端に漏らされると、ズボンだけでなく、トイレの床なども汚れてしまいます。しかし、父なりに、オムツを使わずに用を足したいという気持ちが強くあったのでしょう。
手術で入院している時でさえも、勝手に行くなと言われているにもかかわらず、自力でトイレに行こうとしていたほどです(さすがにこれは看護師に迷惑をかけるので、気にせずオムツでするように説得しました)。
もう少し症状が進んでくると、漏らしたことさえ気づかなくなってしまいました。
車で母の実家に里帰りした時の話ですが、父はパーキングエリアでトイレに行きました。しかし、トイレは小さくて人でいっぱいでした。
いつまで経っても空きそうにないので、父は「次のパーキングまで我慢する」と言って、車に乗り込みました。
そして、次のパーキングに着いて父を見てみると、なんと父のズボンはビシャビシャに濡れていたのです。
父も、その時に初めて、自分がお漏らしをしてしまったことに気が付いたのです。さすがに、濡れた感触などで気づくだろうと思うのですが、気付かないようです。本当に不思議です。
脳腫瘍が悪化していくと、こういったこと起こってくるのです。
さらに腫瘍が悪化していくと、オムツで用を足すことは当たり前になってしまいました。この頃には、父も、かなり自分の症状を受容できてきていたと思います。大きい方だけは、自力でなんとかしたいという思いもあったようですが、排尿については全てオムツとなりました。
なお、誤嚥性肺炎を発症して入院している今現在では、完全に寝たきり状態となってしまったため、尿道カテーテルとなっています。もちろん、大きい方も全てオムツです。仕方がないこととはいえ、悲しい現実ではあります。
まとめ
尿漏れの原因は本当に様々だと思います。それこそ、脳以外の機能障害によるものもたくさんあると思います。
しかし、父のように、がんの発生を示唆する兆候の可能性もあるので、注意が必要です。
とくに、脳に問題が発生している場合、尿漏れといった排尿障害に加えて、歩行障害や認知障害も併発するそうです。父についても、これらの症状が見事に当てはまります。
これまでのブログに書いてきた、「脳転移発覚の前兆」の通りですね。
このことからも、発生した排尿の問題を、ただの加齢によるものだと楽観視しないことが重要です。