肺がんの転移性脳腫瘍が小脳と前頭葉に発生した父は、昏睡状態になりながらも無事に手術を乗り切り、ガンマナイフという放射線治療も終えることができました。
よくもまあ、何とかここまで頑張ることができたといった感じです。
しかし、手術やら治療やらが終わると次はリハビリが始まりました。
手術後は歩けなくっていた
小脳の手術では、バランス感覚を司るという歩行に大きく関与する部位にメスを入れたことと、合併症である脳内出血も発生したため、手術直後は完全に歩けなくなっていました。
(前頭葉の腫瘍については、取り出すことはなく、穿頭手術という方法を行なっているので歩行能力には大きな影響を与えてはいないと思います。)
いきなり歩けなくなってしまったので、その姿を見た時、私はかなりショックを受けました。
ほとんど寝たきりで、まさに虫の息状態です。
手術で、ここまで体力が低下してしまうのかと思ったほどでした。
リハビリが始まる
しかし、手術が終わり、ガンマナイフといった治療も終了すると、リハビリが始まりました。
歩行訓練がメインです(リハビリといってもいろいろしていたようで、嚥下訓練なども行なっていたそうです)。
リハビリそのものは、私は見たわけではありませんが、日が経つにつれてみるみる回復していきました。
それこそ、以前のブログで書いたように、脱走を企てたりすることも可能となるほどになりました。
※脱走を企てた時のことを書いたブログは以下の通りです。
もちろん、健康な時のように、完全に回復したわけではありません。フラフラとしながら、何とか数メートル歩ける程度です。
それでも、手術直後のように、全く歩くこともできない状態と比較すると奇跡のような光景でした。
少しでも歩けるようなると、看護師の指示に従わず勝手にトイレに行くこともあり、ヒヤヒヤさせられたりもしました。
このような他人への迷惑を顧みない行為も脳腫瘍が影響していたと思いますが、こういった行動もリハビリを重ねるにつれて徐々に改善されていきました。
リハビリは、肉体的な回復だけだと思っていましたが、多面的に効果があるようです。
余命はそれでも半年
リハビリも始まった頃、医師から話がありました。
父はかなりの回復傾向を示しているので、もしかすると、以前告げられた余命半年も撤回されるのではないかと思っていました。
しかし、医師の表情は暗く、「回復傾向を示しているのは今のうちだけでしょう」とのことでした。
医師の目からは、どんどん歩けるようになっている父を見ても、回復傾向は緩やかになってきているとのことでした。
また、余命についても、新たな癌が発生することが極めて高く、半年という余命は変わらないとのことでした。
肺がんの脳転移で入院してくる患者をたくさん見てきたが、手術して良くなったという人が、すぐに戻ってくるのはよくある話なのだそうです。
実際、私自身、父の容態の変化には、これでもかというほどに一喜一憂させられてきました。
良くなったと思った矢先に悪化することほど、精神的に堪えることはありません。
先生からすると、そうなることが分かっていたので、いくら父が回復傾向を見せいているときでも、私たち家族には常に最悪の事態を覚悟させていたのだと思います。
いつも思いますが、脳外科の先生は精神的にも本当に辛そうです。
基本的に、私の父のような癌を患った重篤な患者ばかりを相手にしなければならないからです。
たくさんの患者の死を見てきているだろうし、それを悲しむ家族もたくさん見てきているのでしょう。その先生が言うことなので、説得力があるだけに辛いものがありました。
父を半年では死なせない
以上の通り、医師の話は非常に悲観的なものではありましたが、私としては、それでも父がそんなにすぐに死ぬわけがないと強く思っていました。
確かに、リハビリによる回復のペースは緩やかになりつつありましたし、その後もかなりの後遺症が残ったままです。
しかし、父の癌は脳に転移した腫瘍が残っているだけで、原発巣の肺がんは摘出できています。
目視できないほどのミクロの癌細胞が肺がんの摘出前に飛んで、依然として体のどこかで肥大してくる危険性はありましたが、それらも早めに発見して叩くことができれば、怖くはないと思っていました。
また、退院すれば春ウコンをガンガン飲ませて、顕在化していない癌は発生させないようにしようとも考えていました。
※春ウコンについて書いた記事は以下の通りです。
そんなこんなで、医師に何を言われようとも、この時の私には、父はまだまだ絶対に生きられるという確信を強く感じていたのです。
なぜだかわからないのですが、そう強く思えました。
こういった根拠のない確信を、経験豊富な医師の言葉よりも信じてしまったわけです。もちろん、不安が全くなかったわけではありませんよ!
おわりに
父がリハビリによって、大きな回復傾向を示してくれましたが、医師のさからの余命は依然として半年のままでした。
しかし、父は実際には、私が確信していたように、その後も新たな癌が再発することはなく、半年どころが、一年半以上経過した現在でも生き続けることができています。
前頭葉に残った脳腫瘍が悪化して、元気とはとても言えませんが、即座に命の危険があるわけではありません。
そのため、もし医者から余命を宣告されたとしても、私の父のように生き長らえること可能性は充分にあると思います。
癌の種類や、発生場所などによっても、その如何はさまざまであるとは思いますが、希望を持つことも、時には大切かと思います(希望的観測をし過ぎて一喜一憂するのも辛いんですけどね)。