肺がんの脳転移によって小脳と前頭葉に脳腫瘍が発生した父ですが、まずは小脳の腫瘍から摘出することになりました。
9時15分に開始された手術は、難なく成功できたかにみえました。
しかし、夕方頃に合併症の脳内出血が発生し、一時危篤状態となりました。
それでも、執刀医の尽力もあり、22時ごろから深夜に渡って再手術を行われ、無事に危険な状態を乗り切ることができました。
ここまでが、前回のブログの通りです。なんにせよ、本当に大変な1日でした。
再手術は成功しても油断できない
深夜の1時30分、なんとか再手術が成功して無事に生還した父ですが、依然として危険な状態にありました。脳内出血が再び発生する可能性があったのです。
そのため、引き続きICUで様子を見ながら、午前7時にまた連絡するとのことでした。
再手術が成功しても、まだまだ予断を許さない状態であることには変わりないのです。
しかし、さすがに、もうことの時は私も母親もクタクタになっており、家に帰ることにしました。
もちろん、そのまま、病院で7時まで待とうとも思いました。
しかし、まだまだ何が起こるのか全く分かりません。だからこそ体力を温存させる必要もあったのです。
それこそ、再び昏睡状態に陥ることや、そのまま逝ってしまうかもしれないという不安もありました。
しかし、そうなれば、さらに休むことはできなくなってしまいます。
だからこそ、見通しは立たなくとも、休める時に休もうと考えたのです。
問題なしとの電話が鳴る
家に帰ると3時過ぎだったと思います。
そっこうで寝ました。精神的にも肉体的にも疲労困ぱいでした。なので、この時のことはあまり覚えていません。
朝7時ごろ、母親に起こされました。
病院から電話があったのです。無事に、容態は安定しているとの連絡でした。
この時の気持ちは、言葉で表すのは非常に難しいです。
正直、ホッとしたのは事実です。嬉しくないはずがありません。
しかし、まだまだ油断はできないという気持ちも強く、心の底からは安心できない気持ちでした。
このときは、もう、一喜一憂はしたくないという思いでいっぱいでした。
良くなったと思えば悪くなるし、悪くなったと思えは回復してくるからです。
癌のしぶとさと、父の生命力の強さゆえのことなのかもしれませんが、もうこの一喜一憂に振り回されたくなかったのです。
なんにせよ、ひとまずは、命に係わる危機的な状況は脱したわけです。
術後は意識が回復してもICU
なんとか死の淵から這い上がってきた父ですが、術後はほぼ虫の息状態でした。
しかし、意識についてはすぐに回復しました。これでひとまず安心です。
脳の腫瘍を取り出したわけですから、心臓は動いていても、目覚めるのかが分からず不安だったからです。
ただし、まだ身体にはたくさんの管が繋がれていました。鼻にも管が付いていました。
もう、どれが何のための管なのかが全く分かりません。
やたらとゴソゴソと動くため、計器が外れて何度も「ピー」と音が鳴っていました。
そのたびに、看護師がやってきて、計器を付け直していました。
また、よく動くためなのか、点滴の管がうまく刺さっていないようで、手がパンパンに腫れていました。
それこそ、肺がんの前兆が現れていた時のように、に全身が浮腫んでしまったときのような感じです。
いずれにしても、意識は取り戻しても、依然として危険な状態にあるということが伺えました。
ICUという場所
お見舞いといっても、父はICUにいます。ここが、何とも落ち着かない雰囲気なのです。
ICU内には父のベッド以外にもたくさんのベッドがあります。そして、いきなり、患者が運び込まれてくることもありました。
基本的には、生死を境にいる患者たちしかおらず、医師や看護師らも緊迫した顔で満ちています。
その雰囲気といったら、形容のしようがありません。
このことからも、普通のお見舞いのように、落ち着いて話をすることもできませんでした。
面会時間も本当に短く、14時~16時の間で、10分以内とかだったと思います。
悲しいICUの待合室
ICUについては、待合室も、何ともいえないところでした。
今でも覚えているのが、泣いている人がいたことです。
家族が手術を受けている最中だったのでしょうか。
私自身、父が合併症を起こして再手術をしている時は、同じ状況でした。
助かるのかも分からない手術を待つのは、本当に辛いものがあります。
それだけに、そういった光景を見るととても悲しい気持ちになります。
私も、父の手術を待っている時は、周りからはそんな感じで同情されていたのでしょうか。
私にとってのICUとは、そんな、悲しい気持ちになるところでした。
おわりに
脳腫瘍摘出の合併症である脳内出血は、その手術を無事に終えても、まだまだホッとすることはできません。
父の場合は、なんとか大きな再発もなく、乗り越えることができました。
しかし、脳内出血のダメージがもたらす後遺症など、不安要素はまだまだたくさんあったのは事実です。
なにより、前頭葉にはまだ脳腫瘍が残っています。小脳の腫瘍をやっと取り出せただけで、依然として前頭葉の腫瘍摘出の手術も控えていたのです。
こう考えると、このときの父にはまだまだたくさんの試練が待ち受けていました。
しかし、これらも何とか乗り越えて生き延びることができています。
父と同じような境遇にいる方も、どうか希望を持っていただければと思います。